痛みと言う感覚は、自由神経終末(
http://www.nco.co.jp/pain.html)の侵害受容器(
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_83.htm)が発した信号が、脳に到達する事によって起こります。
そしてこの侵害受容器は、関節で言うと関節包や滑膜に分布し、骨と軟骨には侵害受容器は有りません。ただし骨膜(下図)には侵害受容器が有るのですが、骨膜は関節内に入り込まずに関節包に移行します(
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/basic-spinal.html)ので、骨膜の無い関節内部の骨(
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/anatomy/anatomy1a.html)には侵害受容器が無いと言う事になります。
骨膜とは骨を覆う薄い膜の事です。骨折、疲労骨折、シンスプリント(骨膜炎)等の痛みは、骨膜の痛みであって、骨質(骨本体)には神経は有りません。(
http://d.hatena.ne.jp/tathagata/20060620)弁慶の泣き所が痛いのも、骨膜に神経が有るためです。
そして、関節軟骨に神経が無い事は有名です。(
http://www.kawachi.zaq.ne.jp/dpacj005/img/nannkotutoha.html)
ですから、軟骨がすり減って痛いと言うのは、軟骨自体が痛んでいるのでは無く、別の所に原因が有ります。
良く言われるのが、軟骨がすり減る事で骨が露出する(骨と骨がぶつかる)ので痛みが生じると言う話です。そのためには、軟骨の下の骨(軟骨下骨)に神経が有る必要が有るのですが、どうもそのあたりがはっきりしません。
資料1(
http://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/21/4/21_411/_article/-char/ja)
このページのPDFファイルの4ページ目によると、『軟骨には神経や血管は分布せず、さらにその下層にある軟骨下骨組織にも侵害受容器は存在しない。』とある。
資料2(
http://ej.islib.jp/ejournal/1408100814.html)
しかし、このページによると、『軟骨下骨は進行例において疼痛の発現に関与しており,疼痛の原因自体ともなっていることを示した。』とある。
資料3(
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_62.htm)
一方、このページによると、無症状者(痛みを感じていない者)の膝のMRIに軟骨下骨の異常が見られたと有る。(軟骨下骨に異常が有っても、痛みを感じていない)
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何よりも、このページ(
http://jors.jp/assembly/11/lecture/2_s_2.html)によると、
『膝OA(変形性膝関節症)の疼痛の発生機序に関しては、いまだ明確な解答は得られていない。』とあります。
変形性膝関節症では、軟骨の変性と、滑膜の炎症を伴いますから、その痛みの原因がはっきりしていないと言う事は、関節痛そのものの痛みの原因も大部分ではっきりしていないと言えるはずです。
虫歯になっても痛い時と痛く無い時が有るようなものなのでしょうか?? いずれにしろ、軟骨は無いより有った方が良い事だけは確かなようです。
先に述べましたように、軟骨には神経も血管も通っていないので、その栄養補給は関節包内の滑液によって行なわれます。
関節が運動する時に、関節包が伸縮すると、滑液包から、滑液がにじみ出て、その栄養が軟骨に行き渡ります。
ですから、完全に安静にしてしまうと、軟骨に栄養が行き渡らず、軟骨組織が死んで剥がれ落ち、関節包内を漂って滑膜に炎症を起こすと言う事も起こりえます。(
http://www.nhk.or.jp/gatten/archive/2006q2/20060607.html)
そして、関節包に栄養を届けるのは、関節周辺の毛細血管ですから、弛緩〜伸張〜収縮のサイクルを利用したリズミカルな筋収縮によって、関節周辺の血流を改善する事が大切になります。(
http://www.fukuhara-hp.or.jp/pool.html)
軟骨を構成する栄養素と言うのは、Ⅱ型コラーゲン、グルコサミン、コンドロイチン等が、サプリメントで市販されています。
Ⅱ型コラーゲン(
http://www.formelife.co.jp/gurucosamin/koragen.html)
コンドロイチン(
http://www.chondroitin.jp/)
グルコサミン(
http://www.glucosamine.jp/book1.html)
これらに加えて、タンパク質の摂取と、睡眠によって成長ホルモンの分泌を促進する事が重要になるでしょう。
血流の改善がカギになると言う点では、筋痛症の慢性痛への対策と同じと言う事になります。